新規就任理事からのご挨拶(日産自動車株式会社 生浪島 俊一 理事)
- お知らせ
2023.07.28
新規就任理事からのご挨拶(日産自動車株式会社 生浪島 俊一 理事)
カーボンニュートラル(CN)に向けた取り組みは、各国のエネルギー事情、産業構造、そして経済の発展状況によって様々であり、幅広い多様な技術が求められます。 その一方で、一部の国や地域では、今後10数年以内に内燃機関を搭載した車の販売を禁止することが打ち出されており、自動車用パワーソースは『内燃機関』 と 『それ以外』の構図になってきています。
このような状況下で、改めて自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)が内燃機関の研究に取り組む意義を考えます。 4大力学である「材料力学」、「流体力学」、「熱力学」、「機械力学」を含む「機械工学」に加え、「電気工学」「制御工学」も含めたメカトロニクスが内燃機関の研究開発には必須です。 これら技術領域には、未だに解明されていない現象や計測できない現象もあり、AICEではそのメカニズム解明や新しい計測技術の研究も行っています。 また、性能間の複雑な排反事象を伴い、その最適化に膨大な設計パラメータが影響しているのも内燃機関です。 このため、その性能・機能の向上には高い専門性と総合的な技術が求められ、その深さと広がりは小宇宙に例えられると思います。 これらの基礎応用研究に取り組むことにより、世界をリードする日本の技術力強化と次世代をリードする人材の育成を図ることで、将来に亘る日本の産業技術発展に貢献することができると考えます。
AICEでは、内燃機関搭載車両でCNが実現できる技術シナリオを策定しています。 柱の一つは、tank to wheelにおけるCO2排出量を半減以下とする技術への取り組みであり、その革新的研究はNEDOのグリーンイノベーション基金事業で加速させます。 シナリオ実現に必要な基盤的技術の確立を目指すとともに、研究を通じて次代の日本を担う人材を育成してゆきます。
自動車用内燃機関技術研究組合 理事 生浪島 俊一